大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)1727号 判決
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〔判決理由〕第一、まず本件訴の利益について判断する。
本件訴訟物は将来回復すべき原告の本件土地所有権に基く現存登記の抹消登記請求権であるが、その発生は別訴である本件買収計画取消訴訟の判決が原告勝訴に確定することのみにかかり、しかも右判決確定事実自体は発生が将来の事に属する不確定な事実に当るが、右事実の発生自体は容易に認識しうる性質のものであるから右将来の請求権はその発生の基礎関係が明らかなものということができ民事訴訟法第二二六条により予め請求が許される請求権に該当するというべきである。
ついで同条の予め請求をする必要性の存否についてみる。<証拠>並びに弁論の全趣旨によると、原告より区農地委員会を相手とする本件買収計画取消訴訟が昭和二三年当裁判所に提起され(大阪地方裁判所昭和二三年(行)第一四〇号の一四事件)、同裁判所においては右買収計画が取消され原告が勝訴したが区農業委員会から控訴提起があり該訴訟は現在大阪高等裁判所に係属中(同庁昭和四一年(行コ)第四一号事件)であつて、原告としては永年本件土地所有権の復帰を試みているところ、他方では右計画に基く買収および売渡処分がなされ、被告出野は右売渡処分により本件土地所有権を取得した訴外亡出野文吉の相続人であると主張する者であり、被告大阪市は本件第(一)土地の、同呉同平野は本件第(二)土地の各転得者を主張しているのみならず、被告国を含めて被告全員は被告出野の取得時効を主張して原告の所有権回復の余地はない旨主張していることが認められる。すると、たとえ本件買収計画取消訴訟の判決が原告勝訴に確定したとしても、その上で国を含む各被告に対し本件訴訟物である各関係登記の抹消登記手続請求をしてみても遅滞なき任意の履行を期待することができず、却つて全被告らにおいてこれを履行しない意思が容易に推知される。
そうだとすると、本件訴えは予め請求をする必要があるものというべきであるから適法である。(増田幸次郎 杉本昭一 宗哲朗)